お正月休みの最終日、もういっぺん、フェンダーのブルースジュニアⅢを試奏しに、今度はフェンダー日本総代理店である、銀座山野楽器に行ってきました。
Fender Blues JuniorⅢは、出力15Wのチューブ(真空管)アンプです。
チューブアンプって、トランジスタやICを使ったソリッドステートのアンプと比べると、暖かみのある音とか、歪ませた時の音が良いとか言われていて、ギタリストにとっては、いつも気になるアイテムなのです。
真空管を使った電気製品って、今はほとんどないんじゃないかな。
ギターアンプか、オーディオアンプで、その名を聞くぐらい。
ボクの使ってるアンプ、メサブギーのマークⅢもチューブアンプです。
一方、ソリッドステートアンプも捨てがたい魅力があります。
ガラス球の真空管は、振動や衝撃にいかにも弱そうだし、使い続ければ劣化していきます。
1年、2年使い続ければメンテナンスが必要と言われています。
ソリッドステートはその辺を気遣わなくて良いメリットがあります。
月イチで定期的に人前でライブをやる、そしてアンプは持込である、みたいな、アンプが常設されていないカフェ等でライブをやる場合は、壊れにくい・故障しにくいアンプが頼りになります。
でも、チューブアンプが気になって欲しくなってしまうのが、ギタリストの性(さが)(^^;
話をブルースジュニアに戻すと、今回試奏したのは、2011年にリリースされた日本向け限定100台の発売と言われている、FSR(Factory Special Run)モデルです。
Output : 15W R.M.S. at 8Ω
Speaker : Jensen C12N 12″ x 1
Tube : 2 x 12AX7(Pre), 2 x EL84(Power)
カラーは濃いクリーム色のBLD(ブロンド)と茶色のBRN(ブラウン)の2種で、仕様は同じ。
黒いトーレックスのノーマル版とはスピーカーが異なり、JensenのC12Nスピーカーが搭載されています。
試奏したのは、黒のノーマル版(エミネンススピーカー)とブラウンのFSR版(Jensen C12N)で、ボリューム、トーン、マスターを2台とも全く同じにセットして引き比べてみました。
ギターはシャドウスキーのフルアコで、弦はフラットではなく、ラウンドが張られていました。
ノーマル版は、高音がキツい!トレブルを下げても許容できる感じにならないです。
ブライトスイッチのあるアンプのブライトを常時ONしているような、そんな感じです。
FSR(Jensen C12N)の方は、ノーマル版と比べると高音はおとなしく、トレブルを調整すればジャズ向けの落ち着いた音が出ましたが、調整できる幅が少ないな~と感じました。
店員さんに伺ったら、エミネンススピーカーは高域から低域までフラットな出音が特徴で、Jensenは中域に特徴を持たせていて、その違いが出ているのだそう。
アンプの回路自体は同じなので、大きな変化は無いけど、音の好みは別れるかも知れないですね。
とおっしゃっていました。
それと、ボリュームを上げた時の歪み音がノーマル版と少し違っていて、FSR版は「いなたい音」になるのだそうだ。
「いなたい音」って?
と、店員さんに聞いたら、良い意味で田舎っぽい、カントリーな、垢抜けてない音、って説明だった。
早速、ギターはフルアコだったけど、ボリュームをMAXにして、マスターを絞って弾いてみた。
ノーマル版の歪み音と比べて、確かになんと言えばいいのか、「トウモロコシ畑の中で弾いてる」よーな(笑)
でも懐かしいような…、そんな好きな音でした。
さて、結論。
年末に御茶ノ水で弾き、年始に山野さんで試奏した結果、ボクは購入を見送る事にしました。
15Wという出力ながら、キャパ30人くらいのカフェで使うには出力的には充分、でもジャズ向けのクリーントーンにはやっぱり向いてない。高音が出過ぎ。と言うか耳に痛い。
FSR版はスピーカーの違いで、いくらか高音をまろやかに調整出来るけど、それは「調整」であって、このアンプの得意な音では無いと思った。
おそらく得意なのはブルースやカントリーで、フェンダーのギターをつないでナチュラルな歪みが加わったカラっとした音で演奏する場面なのではなかろうか。
ギターだけで試奏すると高音が気になるけど、バンドアンサンブルの中では、演奏するジャンルによっては気にならなくなり、むしろ音抜けが非常に良くなって、気持ちいい演奏ができるのではないかな。そんな風に感じました。
アンプ探訪は、まだ続く・・・(笑)